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【トピックス】「相場操縦」をわかりやすく解説!  村上ファンド、仕手集団は

こんにちは、STAMです。今日は「相場操縦」を取り上げます。ここ最近、旧村上ファンド代表の村上氏や大手仕手集団元代表の加藤氏における相場操縦が話題となっていますが、そもそも相場操縦とは何か解説していきます。

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1.相場操縦とは

相場操縦とは、株式市場(相場)で特定の株式を大量に売買し、意図的に株価を操作(操縦)しようとするなどの行為で、金融商品取引法上の違法行為です。このような行為を行う集団を「仕手筋」や「仕手集団」とも呼びます。仕手集団により株価操縦が行われる株を「仕手株」と呼びますが、まずは実際に見て頂いた方がわかりやすいと思いますので、巷で仕手株の代表格といわれる宮越商事の株価の過去の推移をご覧ください。(※現在は持ち株会社化に伴い上場廃止持ち株会社として上場)

www.stockweather.co.jp

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上の赤と青のローソクのようなグラフが株価の推移、下の棒グラフが株式の取引量です。見て頂きたいのは2005年の後半でして、株価が急激に6倍程度上昇し、下のグラフの取引量も急増しています。通常このような株価上昇では、業績の急拡大や好条件の企業買収など相当な良いニュースがつきものなのですが、このケースでは特段のニュースもない中、株価だけが上昇し続けました。そして、株価が6倍に跳ね上がった後に急落し、取引量も急減しました。

実際には相場操縦による違法行為が明るみにならない限り、株価の変化が相場操縦によるものかどうかは判別できませんが、一般的にはこのようなインパクトのあるニュース(材料)を伴わなずに株価が急騰するケースが仕手株の特徴です。仕手集団は、知名度の低い企業の株式に注目します。こういった企業の株式は取引量が少ないため、大きな資金を持つ仕手集団は、そのような株式を大量購入して株価を釣り上げます。取引量が増えて株価が上昇すると他の投資家が注目し始めます。仕手集団は追随してきた投資家に高値で売却することで利益を得るわけです。もちろん違法行為ですから、証券取引等監視委員会の売買調査などにより相場操縦が発覚した場合、金融商品取引法上の違法行為となり刑事罰の対象となります。

 

2.相場操縦の例

少し細かい話ですが、相場操縦にはいろいろなケースがあります。全て、情報を故意に歪めようとする行為という点で共通していますが、2つの代表例をご紹介します。

(1)見せ板、見せ玉(ぎょく)

最も一般的な相場操縦の例です。表A・Bとも左から買い注文量、株価、売り注文量を表しており、どちらも現在の株価は100円です。表A・Bを見て、どちらの方が買いたいと思いますか?おそらくみなさん全員が表Bと答えるでしょう。なぜですか?それは、表Bは99円以下に買い注文がたくさん入っているので、買いたい人が多そうに見え、値下がりする可能性がAに比べて低く見えるからですよね?でもこれ、もしも株価が99円に下がりそうになったら、99円以下の大量の買い注文は一瞬で消え、表Aと同じ実際に買いたい人の注文だけになります。これが「見せ板」「見せ玉(ぎょく)」で、投資家の判断を欺く行為として相場操縦に該当します。

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(2)架空取引による取引量の拡大

取引量の少ない株式をたくさん購入する際、場合によっては売り注文がなく、あったとしても非常に高い価格での売り注文しかなく、現在の価格水準では購入できない状況にあったとします。そのような場合、例えば複数の証券会社を使って現在の価格水準付近での買い注文と売りの注文の両方を出し、取引を成立させることで取引量を増加させます(さらには少しずつ株価を釣り上げます)。取引量の増加(更には株価の緩やかな上昇)により、他の投資家が注目し始めることで取引量が拡大し、現在の価格水準でたくさん購入することが出来るようになります。もちろんですが、こちらも他の投資家の誤解を生じさせる相場操縦に該当します。

 

以上、今日は最近関心が高まっている「相場操縦」という言葉についてわかりやすく解説しました。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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STAM