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【第9回】所得税・住民税の基本的内容を理解する

こんにちは、STAMです。ブログをご覧いただきありがとうございます。第9回は、税金の中でも中心的な所得税・住民税を取り上げます。所得税・住民税は国民年金の加入種別で支払い方などが異なります。サラリーマン・公務員の2号を中心に加入種別に確認していきましょう。

  1.サラリーマン・公務員(国民年金2号加入者)

2号加入者であるサラリーマン・公務員は、所得税・住民税は給料から天引きされますので、確定申告は基本的には不要です。ただし、①給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合②年収2000万円を超える場合③各種控除を受ける場合 などは別途確定申告が必要です。では、2号加入者の所得税・住民税について確認してみましょう。

(1)所得税

所得税は1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して計算され、所得の増加に応じて税率が高くなる累進課税です(最低5%から最高45%の7段階)。給与収入(額面)から給与所得控除額(最低65万円)を除いた給与所得を計算し、そこから社会保険料や各種控除(基礎控除配偶者控除、生命保険料控除など)を除いた金額が課税所得額となり、この金額に所得税率を掛けて所得税額が算出されます。ところで、毎月の給与からは一定の所得税が天引きされていますが、この所得税額の算出方法は国税庁HPに掲載のこちらで確認ができます。ですが、こちらには生命保険料控除等が考慮されてないことからもわかるとおり、毎月天引きされる所得税はあくまで概算額であり、実際の正確な所得税額とは異なります。そして、その差を埋めるのが年末調整です。年末調整では生命保険料控除等の申告を行うことで、本来支払うべき所得税額が計算され、差分があれば還付されます。なお、少し脱線しますが、所得税の対象となる所得種類は全部で10種類あり(利子・配当・不動産・事業・給与・一時・雑・譲渡・退職・山林)、サラリーマン・公務員の場合は、給与所得・退職所得以外の所得で20万円以上の所得があると確定申告が必要になります。

 (2)住民税

住民税は均等割と所得割の2つがあり、均等割は所得にかかわらず道府県民税が一律1,500円、市町村民税が一律3,500円(但し、どちらも自治体条例により異なる場合あり)となります。一方、所得割は1月1日から12月31日までの1年間の所得に応じて算出されますが、注意したいのは、住民税は所得税と異なり前年の所得をもとに翌年の税額を算出する点です(そのため、新卒1年目は住民税が天引きされず、定年退職後の1年間は無収入でも高い住民税を納めることになります)。具体的には、企業は年末調整を経て給与支払報告書を作成し、従業員が居住する市町村に提出します。市町村はその報告書に基づき住民税を計算し、住民税額の通知書を企業に送ります。そして6月より新たな住民税額が給与から天引きされます。ですので、毎月の給与から天引される住民税は所得税のように概算額ではなく、確定金額となります。住民税(所得割)の計算は、所得金額から社会保険料や各種控除(基礎控除や生命保険料控除等)を除いた課税所得に対して10%を乗じた金額です。

 2.個人事業主、学生、無職(国民年金1号加入者)

1号加入者は、所得金額に応じて確定申告を行う必要があります。例えばアルバイトをしている学生の場合、アルバイトによる給与収入から給与所得控除額65万円(最低)を控除して所得金額を計算し、そこから基礎控除38万円を引いた金額に対して税金がかかります。したがって、103万円ー65万円ー38万円=0円ということで、給与収入103万円が確定申告をしなくて良いぎりぎりのラインです。巷でよく言われる専業主婦のパート上限が103万円とはこのことです。個人事業主の場合は事業所得が主な収入になることが多いですが、事業所得は総収入金額から必要経費を除き、さらに青色申告者は65万円または10万円を除くことが可能です。事業所得以外の所得があれば損益通算を行い課税所得を計算し所得税額を算出します。確定申告の期間は翌年の2月16日から3月15日までです。また、確定申告を行うと税務署が申告書の複写を市町村に送付するため、住民税の申告は不要です。市町村は確定申告の内容に基づき住民税を計算し、納税通知書と納付書を郵送しますので、届いた納付書を使って住民税を納めます。納期は年4回、6月・8月・10月・1月になります。

 3.2号の専業主婦(国民年金3号加入者)

3号加入者は、サラリーマン・公務員である2号加入者の配偶者で所得が130万円以下の者です。3号も所得金額に応じて確定申告をする必要があります。先ほどの学生の例と同様、例えばパート主婦の場合は103万円が所得税を払わないぎりぎりのラインです。103万円以上の給与収入を得た場合は確定申告が必要になるほか、夫が利用できる配偶者に関する所得控除にも影響が出てしまい、141万円を超えると、完全に失われます。また、そもそも130万円を超えますと扶養からも外れますので(3号から1号になる)、もしも給与所得が130万円を超えるようでしたら、130万円をある程度大きく上回る給与所得を得ない限りは得策とは言えません。

 4.まとめ

以上、国民年金の加入者別に税金について簡単に見てきました。次回は、少し細かくなりますが、2号の方を対象に、源泉徴収票の見方と節税の考え方についてご案内します。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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STAM