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【第16回】資産運用を始める前に… -資産運用で失敗しないための心得-

皆さん明けましておめでとうございます、STAMです。本年もどうぞよろしくお願いします。さて、第1回から第15回にわたり年金制度や家計費の改善、税金の考え方や節税方法など主にライフプラン関連の中心に解説してきましたが、第16回からは資産運用について解説していきたいと思います。

<今回のブログのポイント>

  • 資産運用で失敗しないためには、運用の目的をはっきりさせることが最も大切。
  • 目的次第で選ぶべき運用方法・商品は異なります。目的に合った運用方法・運用商品を選択しましょう。
  • 金融機関の窓口や資産アドバイザーに相談する場合、事前に運用の目的や最低限の知識を備えておきましょう。

 

1.資産運用を考える

これまでのブログでは、老後のゆとりある生活のために3000万円の貯蓄をご案内してきました。例えば30歳で貯金100万円の人の場合、毎月7万円の貯金すると65歳には3000万円が貯まります。ですが実際には目の前の生活費が大きく、老後の生活のために毎月7万円の貯金はなかなかハードルが高く感じませんか?

「でも、老後は老後で心配…」そういうあなたにご案内したいのが資産運用です。仮に30歳から65歳まで年率2%で運用できたとします。その場合、3000万円貯めるには毎月7万円ではなく毎月5万円弱で済むことになります。ただし資産運用にはリスクがつきもの。もちろん失敗すれば損をすることもありますので、運用を行う場合は、運用に関する最低限の知識を身に付けたうえで始めていきましょう(もちろん、ブログを読み続けてもらえば最低限の知識は十分つきますので、安心してください)。

「でも運用って難しいんでしょ…」と思った方、いえ、実は簡単です。確かに難しい商品はたくさんありますが、そんな難しいことを知らなくても、効率的な資産運用は十分可能です。そして、資産運用で失敗しない最大のポイントは資産運用の目的をはっきりさせることにあり、そうすれば自ずと選ぶ運用方法や運用商品は決まってきます。

 

2.目的別の運用方法

目的次第で選ぶべき運用方法・商品は異なります。目的に応じた運用方法・運用商品を選ぶことが資産運用で失敗しないための重要なポイントです。ここでは、運用の目的別にあった具体的な運用方法をご案内します。

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資産運用はお金を増やすことが目的です。したがって、まずは節税効果のある運用方法を活用して、無リスクでお金を増やすことを最初に考えることが鉄則です。特に老後の生活が目的の場合は節税効果のメリットを受けられる運用方法が多くありますので十分活用していきましょう。

<運用方法>

(1)個人型確定拠出年金(個人型DC)

個人型DCについては第12回のブログをご覧ください。預金するだけ(無リスク)で20%のリターンも可能となります。一方、主なデメリットとしては利用者制限があること(→2016年に大幅に緩和される見通し)と60歳になるまでは換金が出来ないことです。もし自分が個人型DCを利用可能で、老後の生活のための貯蓄で引き出す予定のないお金であれば、間違いなく最もお勧めの方法です。

money-and-finance.hatenablog.com

(2)個人年金保険

個人年金保険については第11回のブログをご覧ください。個人型DCよりは劣るものの、こちらも節税効果を享受できるお勧めしたい方法です。個人型DCと同様に保険金は60歳以降の受給となりますが、個人型DCのように厳しい加入者制限がなく、途中で解約することも可能です(但し、その場合は元本を割り込むことがあります)。また、子どもの養育費の目的の場合、学資保険も有効な方法です。こちらも保険商品ですので節税効果があり、子供が18歳になった際にまとまった保険金を受給できます。

money-and-finance.hatenablog.com

(3)NISA(少額投資非課税制度)、子どもNISA

個人型DCや保険のような所得控除を活用した節税効果はありませんが、NISAは投資した株や投資信託の売却益等が非課税になります。NISAの説明は第14回のブログをご覧ください。

money-and-finance.hatenablog.com

 

3.運用目的別の運用商品

目的次第で選ぶべき運用方法・商品は異なります。ここでは目的別にあった具体的な運用商品をご案内します。

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5年や10年またはそれ以上といった中長期間にわたる運用になりますと、基本的には投資信託(投信、ファンド)での運用がベターです。投資信託とは多くの人から集めたお金を投資家に代わってプロが運用を行う投資商品のことです。私たちは銀行や証券会社などで投資信託を購入することが出来ます。詳しくは改めてご説明します。

<運用商品>

(Ⅰ)コスト(手数料)の低い投資信託

老後の生活を目的として商品を選ぶ場合は、低コストの商品を選ぶことが重要です。長期間の運用を行う場合はコスト(手数料)の低さが非常に重要になってきます。

(Ⅱ)運用成績の良い投資信託

低コスト以外の投資信託を選ぶ場合は、相対的に運用成績の良いものを選びましょう。できれば10年以上、最低でも5年以上の実績のあるものが望ましいです。このような投資信託は、それを運用するプロ(ファンドマネージャーと呼びます)の能力が卓越しているケースが多く、少しコストは高くてもそれ以上のリターンを期待できるケースが多いと言えます。

(Ⅲ)上場投資信託(上場投信、ETF

投資信託で株式市場で取引されるものを上場投資信託(上場投信、ETF)と言います。基本的には投資信託と同じように、多くの投資家から資金を集めプロが運用するものですが、上場しているために日中刻々と価格が変化します(投資信託は毎営業日の夜に購入・解約価格が算出されるのみです)。上場投資信託は低コストのものが多く、コストの低い投資信託と同様にお勧めです。

(Ⅳ)株式

プロに任せるのではなく、自分が株式市場で直接株式を購入するという方法もあります。ただし、株式の価格やその会社の将来性を分析するのは難しく、また非常に時間のかかる作業です。従って、ガッツリ株式投資に取り組みたいという方には良いですが、効率よく運用をしたい方にとっては❝コスパ❞的にはあまりお勧めはしません。ですが、例えば自分の好きな会社の株式を購入したり、株式を購入するともらえる株主優待が魅力的な株式を購入したりする方法は選択肢になりうるでしょう。

(Ⅴ)証拠金取引先物、為替等)

短期的利益の追求方法として最も効率的な運用商品が証拠金取引レバレッジ取引)です。証拠金取引とは、自分の資金をテコにして、その10倍や20倍の資金の取引が可能になる商品です。従って場合によっては非常に儲かりますが、一方で非常にリスクが高いものになりますので、十分な理解が必要になります。日経平均株価先物取引やFX(為替証拠金取引)などが有名です。

 

4.まとめ

今回は資産運用を始める前に確認したいこととして、「運用の目的をはっきりさせること」を強調してきました。それ次第で運用方法・運用商品が決まってきますので、まずは運用の目的をしっかりと考えてください。日本の金融ビジネスはまだまだ未熟な部分があり、残念ながら、必ずしも金融商品を販売する金融機関(販売会社)と顧客の利益が一致していることが常ではありません。銀行や証券会社などの販売会社は金融商品を販売することによって利益を得ている訳ですし、彼らも会社としての収益目標を抱えている訳ですので、販売員みずからが自分たちの収益が0円の商品を積極的に紹介するというのは現実的には難しいことがご理解いただけると思います。ですので冒頭に書きましたが、私たち投資家は運用の目的をはっきりさせることが重要で、運用の目的をはっきりさせれば自ずと運用方法・運用商品が決まってきますのでぶれることがなくなり、販売員からのニーズに合わない商品の紹介にも「NO!」ということが出来るようになるわけです。

運用商品については今回は詳しい説明を割愛させていただきましたが、これから順を追って、運用の基本的知識等についてご案内したいと思いますので、ぜひご覧いただければ幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

※このブログはマネーライフ講座「皆さんのお金にまつわる不安を解消する」ことを目的としています。マネーライフに関するブログもたくさんエントリーしておりますので、ぜひご覧ください。

 

STAM