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【保存版】プロが教えるFX取引に重要な5つの判断材料をわかりやすく解説! その3:内外短期金利差

こんにちは、STAMです。今回はFX取引の際の重要な判断材料の3つ目、内外短期金利差についてご案内します。

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重要指標③:内外短期金利差 おすすめポジション:短中期ポジション

(重要指標1:IMM投機筋ポジションはこちら 重要指標2:基礎収支はこちら

1. 短期金利に影響する要因

短期金利(今回のブログでは短期金利を2年国債金利とさせていただきます)とは、国に2年間お金を貸す対価として得られる金利のことです。ではこの短期金利の水準、さらには5年金利、10年金利、20年金利の水準は一体どのようにして決まるのでしょうか。学術的には様々あるのですが、ここでは短期金利は金融政策の見通し、方向性に影響されやすく、長期金利はインフレ率や財政状況などに影響されやすいと覚えてください。

2.金融政策と為替相場の関係

金融政策と為替相場には密接な関係があります。

順を追って説明します。まず世界の中央銀行ですが、各国で異なりはあるものの、基本的には金融政策の手段として中央銀行と銀行の間、または銀行間同士における超短期金利(1日や1週間など)を調整しており、これを政策金利と呼んでいます。銀行の融資金利もこの政策金利がベース水準となり、そこに様々なリスク(借手が返済不能となるリスクなど)に見合う金利が上乗せされて最終的な融資金利が決定します。また、預金金利もこの政策金利の水準を反映して決まります。

この話は外貨においても同様です。わかりやすい例として、外貨預金をイメージしてください。多くの銀行では外貨預金口座の取扱いがあると思います。この外貨預金金利水準は銀行が外貨を調達する際の金利を考慮した水準になりますので、結局のところ政策金利が大きく影響してくるわけです。ですので、銀行の外貨預金金利水準は、その外貨の政策金利に近い水準になっていると思います(実際には様々なコストなどが考慮され政策金利よりも低い水準になります)。

では本題の金融政策と為替市場の関係です。こちらも学術的には様々あるのですが、今回は(名目)金利水準のみに着目して話を進めます。また具体例で見てみましょう。

日本の政策金利が0.1%で普通預金金利も0.1%、米国の政策金利が2.0%で外貨(米ドル)普通預金金利も2.0%とします。もし為替レートが安定していて大きく変動しない場合、あなたは円または米ドルのどちらの通貨を保有したいですか?もちろん米ドルですよね。なぜならば金利が高いのですから。そうすると円を売って米ドルを買おうという動きが出てきます。これが「キャリートレード金利の低い通貨を売って高い通貨で運用する取引)」です。では米国が利上げを実施し政策金利が2.5%、外貨預金金利も2.5%になった場合、ドル円レートはどちらに進むと思いますか?それは、預金金利が上昇した米ドルの方がより魅力的に映りますので、円売りドル買いが進みますよね。特に為替市場ではこの「変化」に対して大きく反応するため、政策金利の変更は為替市場へ大きな影響を与えます。ですので、政策金利の見通しを適切に予想できれば、FX取引では大きな利益を得られるでしょう。

ですが、実際には政策金利の変更が決定される前に、市場はその変更を事前に予想し始めますので、政策変更日当日に変更予想をして見事に当てたとしても、既に市場は織り込み済みだったりします。その市場による政策金利の見通しが現れやすい代表的な例が短期金利(このブログでは2年国債金利としています)なのです。ですので、内外短期金利差を見ることにより、市場参加者の金融政策の見通しの変化をいち早く察知できるようになり、為替市場の見通しをたてる際に役立ちます。

3.内外金利差と為替市場の動き

 それでは、実際に内外短期金利差と為替レートがどれほど相関があるのか見てみましょう。

◆米ドル円

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◆ユーロ円

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◆英ポンド円

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◆豪ドル円

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カナダドル

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全通貨において2011年前後まではチャートの重なりが目立ちます。その後は世界中で金融緩和を一段と加速させたということもあり、為替レートの変動ほどに金利差が変動しない状況となっていますが、為替レートの方向性と金利差の方向性は引き続きほぼ同じ方向を向いていることから、金利差と為替レートの関係性は一貫して高いということが言えるでしょう。

4.終わりに

内外短期金利差は市場参加者の金融政策の見通しを反映した材料と言えます。ですので、日々発表される重要な経済指標の強弱により政策金利の見通しに変化が生じると、短期金利差は大きく変化します。そういう意味で短期金利差は短中期ポジションにおすすめと言えます。比較的短い期間で取引される方は、短期金利差についてもしっかりとおさえておきましょう。なお、1つ目(IMM投機筋ポジション)、2つ目(基礎収支)については以下のリンクよりご覧ください。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 STAM

 

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