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【第2回】あなたの年金額は〇〇万円!? 公的年金制度を考える

こんにちは、STAMです。ブログをご覧いただきありがとうございます。さて、今回は第1回の最後に触れた公的年金制度について整理したいと思います。

<今日の黒板>

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1.公的年金制度の全体イメージ

日本の年金制度は以下の図のとおり3階建ですが、公的年金国民年金厚生年金(共済年金の2つです。今回のブログでは、公的年金部分に焦点をあて、国民年金の種類別(1号・2号・3号)に解説していきます。まずは以下の図で全体イメージをつかんでください。 

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 2.加入年金別の受給額

(1)国民年金1号:個人事業主、無職、学生など 外国人も含まれる

  • 国民年金     :月65,000円、65歳から受給
  • 厚生(共済)年金 :なし(但し、過去に会社等に勤務経験があれば支給あり)

 国民年金の1号加入者は、個人事業主、無職、学生などが該当します。20歳以上60歳未満の国内に居住している人が対象になり、国籍要件はありませんので、外国人も含まれます。1号加入者は、公的年金のうち1階建て部分の「国民年金」のみが対象です(厚生(共済)年金は対象外です)。給付額は保険料を納めた期間により増減し、40年間で納めた場合は65歳から年額780,100円(月額65,000円)(平成27年度)が給付されます。また、保険料払済み期間に保険料免除期間などを加えた受給資格期間が25年未満の場合は、国民年金は給付されないことに注意しましょう。

 

(2)国民年金2号:サラリーマン、公務員

  • 国民年金     :月65,000円 65歳から受給
  • 厚生(共済)年金 :月90,000円(平均年収500万円)
                                        ※男性S36.4.2生まれ~は65歳から受給、女性は5年遅れ

国民年金

2号加入者は、サラリーマン、公務員が該当します。2号加入者は1階建て部分の「国民年金」、2階建て部分の「厚生(共済)年金」の2つが対象です。1階部分の国民年金については1号と同じ、給付額(満額)は月額65,000円です。また2号の場合、国民年金保険料は給料天引きの厚生年金保険料に含まれますので、保険料支払いの手続きは不要です(1号は自ら保険料を納付する必要あり)。

<厚生年金>

次に、2階部分の厚生年金ですが、受給額は現役時代の給料(に基づき支払った公的年金保険料)に比例して決まります。40年間の平均年収が500万円の2号加入者の場合、厚生年金の給付額は先ほどの木佐のとおり月額90,000円程度です。具体的な計算式はやや複雑で、被保険者の期間が平成15年3月以前と以後で計算が異なり、双方の計算結果を合算したものになります。大まかな受給額については、以下の式で計算できます。

   40年間平均年収 × 約1.8% = 月額受給額

ただし公的年金保険料には上限があり、ボーナスは年3回で1回150万円、月収(標準報酬月額)は62万円がそれぞれ上限ですので、平均年収1200万円(3×150万円+12×62万円)を超える場合は社会保険料は一定となり、年金加算額も一定となります。

ですので、厚生年金の最大受給額は1200万円×1.8%=月21.6万円程度、国民年金と合算すると月28万円程度、年間340万円程度となります。

 なお、厚生年金は以前は60歳より給付されていましたが、現在は給付開始年齢を65歳へ移行期間中です。具体的には、男性は昭和36年4月2日生まれ(現在54歳)、女性は昭和41年4月2日生まれ(現在49歳)以降の方は、厚生年金は65歳から受給開始となります。

 

(3)国民年金3号:2号の専業主婦(主夫)

  • 国民年金     :月65,000円、65歳から受給
  • 厚生(共済)年金 :なし(但し、過去に会社等に勤務経験があれば支給あり)

 最後に3号ですが、3号は2号の専業主婦(主夫)が対象となります。3号は公的年金のうち1階建て部分の「国民年金」のみが対象です。ただし、1号と異なることは保険料支払いの有無です。3号の保険料は2号の厚生年金保険料に含まれますので、保険料を納める必要はありません。受給額は1号や2号の国民年金の受給額と同額の月額65,000円(満額)です。専業主婦がパートをする際に話題に上がる130万円の壁は、年収130万円以上働くことで、国民年金の3号を外れ1号となることで、国民年金保険料の支払い義務が発生するからです。

 

3.老後の生活を考える

それでは、現在の給付水準を前提した場合の、夫婦2人の生活水準を計算しましょう。

<老後の公的年金受給額(月額)>

①夫は40年間サラリーマン(平均年収500万円)、妻は専業主婦

受給額:220,000円 (夫婦の国民年金65,000円×2、夫の厚生年金90,000円)

 ② 夫は個人事業主(自営業者)、妻は専業主婦 

受給額:130,000円 (夫婦の国民年金65,000円×2)

 

ちにみに、①は厚生労働省の示すモデル世帯つまり平均世帯の水準です。一方、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」平成25年度では、夫婦2人の老後の最低日常生活を送るための費用は月額平均22万円、ゆとりある生活は月額平均35万円という結果もあります。http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h25hosho.pdf

 ①のケースでゆとりある生活を送りたい場合、65歳~85歳の20年間:(35万円ー22万円)× 240ヶ月 =3120万円が不足額となります。これが、第1回のブログでご案内した老後に向けた目標貯蓄額3000万円の根拠です。ただし、ここでは60歳~64歳の収入を議論していません。もしも、60歳で定年退職して再雇用を希望しない場合は、年金受給開始までの5年間は無収入となりますので、そちらの手当ても必要です。このように整理してきますと、やはり老後の生活を豊かなものとするためには、早い段階からのライフプランニングの重要性がご理解いただけると思います。

 

4.まとめ

さて、今回は公的年金制度について受給額を中心に見てきましたが、如何でしたでしょうか。なお、本日行った受給額の試算は、平成27年度の給付額に基づいたものです。日本の年金制度は現役世代が高齢者を支える仕組みがベースとなっています。日本は世界の中でも少子高齢化が深刻な国ですから、将来、年金額の減少や年期給付開始年齢の後ろ倒しなど可能性は十分あり、現在の給付額を見ただけで、安心するのは禁物です。まずはライフプランニングを行い、自分の将来にわたるイメージを持って、理想の老後生活を実現してください。次回からは、キャッシュフローの改善に着目していきたいと思います。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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 STAM