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【第7回】家計費の改善 -保険編 保険加入前に必ず確認したいこと 加入目的は保障か貯蓄か

こんにちは、STAMです。ブログをご覧いただきありがとうございます。第7回は、家計費の改善のうち、保険について考えてみたいと思います。

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巷では、保険は人生で2番目に高い買い物とも言われています。もし30歳から60歳まで、月1万円の保険に加入したとすれば、1万円×12ヶ月×30年=360万円ですので、2番目かどうかは別として、住宅費や教育費に次ぐ高額支出であることは間違いありません。今回は、これから保険に加入または見直しをお考えの方に、事前に必ず確認していただきたいことをご案内します。

1. 保険に加入する前に必ず確認したいこと
保険はその内容が複雑なため、一度加入してしまうとなかなか見直しのきっかけが持てず、当初に加入した保険を継続するケースが多いかと思います。最近では「保険ショップ」が拡大したことで、保険の見直しの機会が以前よりは増えていると思いますが、保険ショップも結局は保険を販売することで利益を得ているわけですので、皆さんの保険見直しをきっかけとして新規に契約を取りたい気持ちは当然ながらあります。ですので、現状の生活に適した好条件の保険へ見直すことは大切ですが、まずは必要以上に保険料を払っていないか、無駄がないかをある程度自分自身で理解できるようにしたいところです。今回はその基本となる考え方を整理します。

2. 保険加入の目的は保障か貯蓄か
保険をざっくり2つに分けますと①保障目的の保険(掛け捨ての生命保険、医療保険、損害保険など)②貯蓄目的の保険(個人年金保険、貯蓄性の高い保険(子ども保険など))になります。先に②を説明しますが、こちらは資産運用手段のひとつと考えてください。資産運用というと、株式や投資信託が思い当たるかもしれませんが、実はこのタイプの保険もひとつの運用方法で、特徴としては利率が確定している商品が多く、低リスク商品と言えます。貯蓄性の保険商品は投資信託などと比べコストが高い傾向にありますが、保険ですので生命保険料控除の節税効果を享受でき、これが最大のメリットです。一例を簡単にお伝えしますと、老後生活のための貯蓄保険である個人年金保険について、年間8万円の保険料で4万円の所得控除=所得税の節税が行えます。仮に所得税率が20%の場合、4万円×20%=8,000円が節税金額となります(実際には住民税においても同様に保険料控除による節税が可能ですので、合計の節税金額は更に増えます)。8,000円と聞いて少ないと思うのは間違いです。年間8万円の保険料に対して、8000円の節税効果があるわけですから、年率で計算すると10%の利回りです。運用に関しては改めて幅広に詳しくご案内しますが、10%の利回りを「確定」できる商品は基本的に存在しないと思っていただいて結構です。ですので、このような保険商品による節税効果は非常に有効ですので、ぜひ覚えておいてください。なお、節税関連については保険も含めて後日ご説明したいと思います。

次に①保障目的の保険ですが、具体的には掛け捨ての生命保険、医療保険、損害保険などが挙げられます。このような保険に加入・見直しされる際には、本来の保障ニーズに対して掛け金が多過ぎていないかということについて、必ず事前に考えて頂きたいと思います。以下、その際に参考となる制度等をご案内します。

(1)公的保障制度 ―遺族年金・障害年金
生命保険等の掛け金を決める際に考慮したいのが、遺族年金や障害年金などの公的保障制度です。これは、第2回のブログで説明しました公的年金制度の一環で、具体的には公的年金制度の加入者が重度の障害を負った場合や命を落とした場合に、条件を満たす遺族に対し障害基礎年金、遺族基礎年金が配偶者等に給付される制度です。黒板に記載しましたが、妻・子1人(18歳以下)のいるサラリーマンの夫(国民年金2号(厚生年金保険加入者))が亡くなった場合、年150万円程度の遺族年金(基礎+厚生)が給付されます。障害年金についても遺族年金と同様のことが言えますので、これらの公的保障制度の給付水準を把握したうえで追加的に加入する保険を選ぶことをお勧めします。

(2)団体信用生命保険「団信」
団信とは住宅ローン専用の生命保険です。多くの金融機関では、住宅ローン契約においてローン契約者の団信への加入を条件としています。団信に加入することで、ローン契約者が死亡または高度障害となった場合、保険金が金融機関に支払われることで、ローン契約者はその後のローン支払いが不要となります。また、団信の保険料はローン金利に含まれますので、ローン契約者が追加的に保険料を負担する必要はありません。ただし、一部の金融機関やフラット35では団信の加入が任意となっており、加入する場合は追加的に保険料を支払う必要があります。住宅ローン契約者は団信に自動的に加入することで、ローン残高を保険金とする生命保険を契約していることになりますので、ローン契約者を対象とする生命保険について、解約または掛け金の圧縮が検討可能になります。

(3)企業の福利厚生
勤め先によっては、死亡または重度障害となった場合に、企業独自で従業員に対して手厚い保障をするケースもあります。あくまで福利厚生による保障ですから、将来的にその福利厚生が廃止になる可能性も否定できず、その保障だけで安心できるものではありませんが、ある程度はその保障分を見込んだ保険の見直しをすることも検討しましょう。保障制度に関する福利厚生は意外に見落されやすいものでもあります。ぜひ従業員規則や給与規則等を一度ご確認されることをお勧めします。

3. まとめ
今回は、家計費の大きな支出項目の1つである保険に関して、保険料をいかに抑えるかという視点で公的保障制度などをご紹介しました。保険の種類は星の数ほど多く、自分にあった保険を見つけ出すのは大変な作業ですが、まずは自分にあった保険を探す前に、そもそも自分にとって本当に必要な保険のイメージをしていただくことが、無駄のない保険料の支払いにつながります。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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