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【第12回】超お得。節税効果で預金が実質年10%以上のリターン!? おすすめの節税方法② -DC・確定拠出年金編-

こんにちは、STAMです。ブログをご覧いただきありがとうございます。第12回は、おすすめの節税方法の2回目としまして、DC(確定拠出年金)を取り上げたいと思います。

1.DC(確定拠出年金)とは

DC(確定拠出年金、Defined Contribution Plan)とは、会社または本人が拠出した金額をもとに本人が運用商品を選び、その運用結果に応じた給付を受ける年金制度です。DCには、企業が拠出する企業型と本人が拠出する個人型の2種類がありますが、今回は個人型に焦点をあててご説明します。個人型DCでは、拠出金額の全額が所得控除の対象となり節税効果を享受できます。ただし加入制限があり、現在は個人事業主や学生などの国民年金1号加入者と国民年金2号加入者のうち、企業年金をない会社員のみに限られています(下図参照)。

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ただし、2015年の国会でDC法改正案の審議が開始されまして(翌年持ち越し)、これが2016年の国会で成立しますと、これまで加入非対象であった主婦(3号)や公務員、企業年金のある会社の特定の会社員にも個人型DCに加入することが可能となり、2001年の制度開始以来の大改革になることが期待されています。2014年にはNISA(少額投資非課税制度)が開始され、世間の注目を集めましたが、今回のDC法案改正のインパクトはNISAをはるかに上回るものになるでしょう。

2.DCの節税効果はどれくらいか

では、実際にDCの節税効果を計算してみましょう。例えば、個人事業主Aさんの今年の課税所得が500万円であったとします。以下の所得税率表に基づいて所得税額を計算してみましょう。

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所得税額:500万円×20%-42.75万円=57.25万円 ・・・①

では、Aさんが個人型DCで年間80万円を拠出したとします(Aさんは個人事業主で国民保険1号加入者ですので、年間上限は81.6万円)。この場合の所得税額を計算してみましょう。

課税所得:500万円ー80万円=420万円

所得税額:420万円×20%-42.75万円=41.25万円 ・・・②

つまり、①-②の16万円が節税できるというわけです。80万円の拠出に対して16万円の節税ができるわけですので、収益率(リターン)を計算すれば16万円÷80万円=20%になります。前回のブログで解説しました保険による節税の収益率は10%程度でしたので、その2倍近くの節税効果があるDCは、私自身は最も効率的な節税方法だと思います。

3.個人型のDCを始めるにはどうすればよいの?

実際に個人型DCを始めるにあたっては、個人型DCのサービスを提供する金融機関で専用の口座を開設する必要があります。個人型DCを手掛ける金融機関は以下のリンク先より探せます。リンク先は銀行一覧が掲載されていますが、右側のタブで信用金庫や証券会社、信託銀行などの選択が可能です。

www.npfa.or.jp

個人型DCのサービスを提供する金融機関のことを運営管理機関と呼びますが、どの運営管理機関で口座を開設するかについて、注意したい2つのポイントをご案内します。

(1)商品ラインアップ
DCへ拠出した資金は、いずれかの金融商品へ振り分けなければいけません。具体的には元本確保型では定期預金、元本確保型以外では投資信託が対象商品となることが一般的です。リスクを取りたくない方は定期預金を選択すればよく、タイトルに書いた『節税効果で預金が実質年10%以上のリターン?!』とは、このことを指しています。先ほどの説明のとおり所得税率が20%の場合、節税効果により20%のリターンが確保できましたので、あとはDCへ拠出した資金を定期預金に入れておけば、預金で20%のリターンが可能となるわけです。一方、投資信託で運用したいという方の場合は、そのラインアップが重要となります。投資信託とはプロに運用をお任せする商品ですので、保有期間中はお任せする費用(信託報酬と言います)がかかりますが、この信託報酬は投資信託によりまちまちです。ですので信託報酬が安い商品が多いかどうかもポイントになります。

(2)口座関連費用

個人型DCの口座を開設する場合、口座開設時の初期費用、毎年の口座管理費用等がかかります。これら費用の内訳には、事務手数料等として必ずかかる部分と、選択した運営管理機関によって異なる部分とがありますので、なるべく費用の安い運営管理機関を選ぶのもひとつのポイントです。こちらのサイトでは、運営管理機関の費用ランキングを掲載しています。

モーニングスター [ 401k(確定拠出年金)ポータビリティガイド ]

4.個人型DCにおける注意点

個人型DCは拠出金額の全額が所得控除となり、非常に節税効果の大きい魅力的な制度です。ただしデメリットもあります。主な注意点を以下に列挙しておきます。

(1)原則、60歳まで解約ができないこと

(2)確定給付年金を持つ企業に転職した場合、新たな拠出が出来ないこと
   (既に拠出している資金については、継続して運用が可能)

(3)初期費用・口座管理費用等のコストがかかること

とくに(1)の解約制限についてですが、DC(確定拠出年金)はその名のとおり「年金」ですので、受け取りは60歳以降となります(60歳以降に一時金もしくは年金として受給します)。したがって、途中で解約しようと思っても解約できませんので、あくまで《老後の生活のための貯蓄》を目的として利用してください。

5.まとめ

今回はおすすめの節税方法の2回目として、個人型DC、確定拠出年金をご案内しました。非常に節税効果の大きい制度ですが、現状では加入対象者の制限により公務員や主婦、一定のサラリーマンは加入することが出来ません。ですが、2016年の国会でDC改正法案が可決されれば、加入対象者が大幅に拡大しますので非常に楽しみですね。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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STAM