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【トピックス】日銀がマイナス金利を導入!銀行預金や住宅ローンへの影響は? マイナス金利をわかりやく説明!

みなさんこんにちは、STAMです。今日は1月29日に日本の中央銀行である日銀が決めたマイナス金利の政策についてわかりやすくご説明します。

<今回のブログのポイント>

・日銀が導入したマイナス金利は、一般の銀行が日銀に保有する預金残高の一部に適用される金利のことで、私たちの銀行の預金金利は当面はマイナスにはなりません。

マイナス金利の導入により、世の中の金利水準は全体的に下がりますので、預金金利のプラス幅は更に小さくなり、また住宅ローン金利は低下することが見込まれます。

・今後、日銀が更なるマイナス金利の引き下げを実施した場合は、銀行収益の悪化が見込まれるため、将来的には銀行は私たち預金口座保有者に対して口座維持管理手数料を徴収したり、預金金利をマイナスする可能性はあるかもしれません。

 

1.そもそも日銀って何?

さて、話題になっている日銀のマイナス金利政策ですが、その前に、そもそも日銀とはどのような銀行なのか簡単に確認しておきましょう。日銀は日本の中央銀行(1つの国に1つ)であり、3つの銀行の顔を持っています。

①銀行の銀行、②政府の銀行、③唯一の発券銀行

①銀行の銀行とは、一般の銀行に対して銀行の機能を提供するという意味です。したがって、日銀は個人や企業と直接取引することはありません。②政府の銀行とは、国のお金(国庫金)に関する事務や、国債に関する事務、外国為替市場における為替介入事務など、国の事務の機能を担っているという意味です。③発券銀行とは、現金である紙幣を発行できる唯一の銀行という意味です。

 

2.日銀の目的は何?

①「物価の安定」を図ること、②「金融システムの安定」に貢献することの2つです。

日銀は金融政策を通じて物価の安定を図ることを目的としています。物価の安定は、経済が安定的に拡大するうえで重要な条件になります。日銀は物価を安定させるため、金融政策を適宜変更します。今回のマイナス金利も物価の安定を目的として導入された政策です。

また金融システムの安定に貢献することも日銀の重要な目的です。日銀は金融機関に対する決済サービスの提供や銀行への資金の融通等を通じて決済システムの安定に貢献しています。

 

3.それで、今回のマイナス金利ってどういうこと?

それでは今回のマイナス金利政策についてご説明します。既にご案内のとおり、日銀は銀行の銀行ですので、一般の銀行はお金を日銀の口座(当座預金口座)に預けています。もう少し詳しくは、一般の銀行は法律により日銀の口座に預けなければならない最低限の金額というのが決まっており(これを所要準備額、法定準備預金額と言います)、日銀はこの金額に対しては金利をつけていません。一方、一般の銀行は日銀の口座に最低金額以上を預けることも可能で、多くの銀行は日銀の口座に最低金額以上の金額(これを超過準備額と言います)を預けていました。なぜならば、日銀はこの超過準備額に対して0.1%の金利を付けていたからです。一般の銀行は貸出先がなかなか見つからない中、日銀の口座に大量の資金を置き金利分の0.1%を得ていたわけです。そして今回のマイナス金利とは、まさにこの日銀口座における超過準備額の金利のプラス0.1%をマイナス0.1%にするということです。

ただし既にこの超過準備額は200兆円を超す規模で、もしもこの金利を‐0.1%にすると銀行収益がものすごく悪化します。それを回避するため、日銀は今回の決定において、今後に増加した超過準備額に対して-0.1%の金利を適用する一方で、これまで積み上げてきた200兆円以上の超過準備額については、引き続き+0.1%の金利を付けることとしたわけです。

少し難しい解説になりましたが、ご理解いただけましたでしょうか。上記の説明はイメージをつかんでいただくことを優先して書いていますので、実際の政策内容はもう少し細かく複雑です。興味のある方は後程更新するブログをご覧ください。

 

4.銀行預金や住宅ローンへの影響は?

では、実際に私たちの生活にどれほど影響が出るものでしょうか。結論からお伝えしますと、銀行預金金利のプラス幅は更に小さくなり、住宅ローン金利も低下する可能性が高いと言えるでしょう。 一方、今回の決定により、すぐに銀行預金金利がマイナスになることは考えにくいですが、日銀がマイナス金利の更なる引き下げを行い、銀行の収益がさらに悪化する場合は、銀行は顧客に対して口座維持管理手数料を課したり、実際にマイナスの預金金利を導入したりという可能性も否定できません。ちなみに、口座維持管理料については海外では一般的です。家での保管は不安であるため、銀行に手数料を払って保管してもらうという考え方ですね。

また、今回のマイナス金利政策導入によって、29日の市場金利は大幅に下がり、10年金利は史上最低の0.1%を割り込む水準まで低下しました。住宅ローン金利長期金利に連動しますので、今回のマイナス金利導入による長期金利の低下によって住宅ローン金利にもさらなる低下余地が出てきました。

 

5.その他 …29日の銀行株・不動産株

ご参考までですが、マイナス金利を導入した29日の株式市場では、銀行株は軒並み下落し、不動産株は大幅に上昇しました。もうおわかりですね。銀行は日銀口座にこれから預ける金額の大半においてマイナス金利が適用されるため将来の収益悪化が懸念される一方、不動産株は住宅ローン金利を含め金利全体が低下することで個人や企業がお金を借りやすくなり、不動産市場の更なる活況期待が高まるといったところです。

では、最後までご覧いただきありがとうございました。

 

※このブログはマネーライフ講座「皆さんのお金にまつわる不安を解消する」ことを目的としています。マネーライフに関するブログもたくさんエントリーしておりますので、ぜひそちらもご覧いただけますと幸いです。

 

STAM