大手資産運用会社で働く金融マンのマネーライフ講座

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【第17回】資産運用におけるリスクとリターンの関係 -投資にうまい話は無い- 

こんにちは、STAMです。第17回は資産運用におけるリスクとリターンの関係についてご説明します。

<今回のブログのポイント>

  • 運用と言っても投資対象はさまざま。株式、債券、REIT(不動産)、金、為替など選択肢はたくさんあります。
  • 資産ごとにリスクの大きさは異なります。リスクの大きい投資対象は、大きく儲かる可能性もあれば大きく損する可能性もあります。
  • 従って自分の運用ニーズに合わせた投資対象を選ぶことが大切です。

 

 

リスクとリターンの関係

実際に運用を始めるにあたっては、自分の運用目的にあった運用資産、投資対象を選ぶことが重要です。と言っても、投資対象には株式、債券、不動産、金、為替など選択肢はたくさんあり、いったいどの投資対象が自分の運用目的に合致したものかわからないと思います。そこで、まずは下の図をご覧ください。(REITとはここでは不動産投資商品とお考えください)

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上図は各資産のリスクとリターンの関係を示したものです。左下の預貯金から始まり右上の海外株式まで、リスクが大きくなればそれだけリターンも大きくなります。但し、実際には計測期間次第でこれら各資産の位置(特にリターン)は変わりますので、全体感をつかんでいただくためのイメージとお考えください。また下図は上図を分解したものです。ポイントは、海外資産は為替の変動リスクが加わりますので、その分リスクが大きくなるという点です。

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ちなみに国内債券のリスクは年平均1-2%程度、リターンは年平均0.5~1%程度、これが海外株式ですとリスクは年平均15~20%、リターンは年平均4~8%程度といったところがそれぞれのザックリとしたイメージです。(特にリターンは計測期間により大きくブレます)

このように資産ごとのリスクとリターンの関係を把握したうえで、投資対象を選択することが重要です。例えば、「損は最小限にとどめたい、でも預貯金ではさすがに金利が低すぎる!」という方は、間違っても株式やREITへの投資は避けるべきですし、為替リスクのある海外資産も控えるべきでしょう。となりますと、自ずと運用先は国内債券などの低リスクの投資対象になります。逆に「老後の生活目的の資産なので、多少リスクが大きくても、将来のリターンを少しでも大きくしたい!」という方は、国内債券ではなく国内外の株式やREITなどで積極的に運用すべきでしょう。もしも国内債券で運用した場合、たとえ長期間運用したとしても、大きなリターンを得ることは難しいでしょう。

ここでひとつ余談ですが、非常に問題だと思っていることがサラリーマンの企業型DC(確定拠出年金)。サラリーマンの方で企業に入社された際にDCの説明があった方はおそらく企業型DCの加入者と思います。企業型DCとは企業年金(企業が従業員の老後の生活の保障を目的として運用する年金のこと)の一種で、企業が従業員に毎月一定額を拠出し、従業員自らが拠出額をもとに所定の複数商品から運用し、老後に年金として受け取る仕組みなのですが、企業型DC加入者のおよそ6割が元本確保型商品を選んでいるのです(下図を参照)。一般的には運用期間が長ければ長いほどリスクを取った運用が望まれますが、残念ながら預貯金等の元本確保型商品が6割ということです。もし、「あ、僕も私も預金のままになってる。どうしよう?」と思われた方は、ぜひこの後のブログをお読みいただいて、投資商品の変更を検討してみてください。

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最後にひとつ。先ほどの図を再掲します。

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この図を見てわかる通り、左上のゾーンには何も資産がプロットされていません。この左上のゾーンは❝低リスク・高リターン❞です。巷では「投資でうまい話があります」のような文句で投資詐欺が後を絶ちませんが、忘れてはならないことは、「投資にうまい話は無い」ということです。以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

※このブログはマネーライフ講座「皆さんのお金にまつわる不安を解消する」ことを目的としています。マネーライフに関するブログもたくさんエントリーしておりますので、ぜひご覧ください。

 

STAM